TOP > 奨学金とは? > 奨学金のメリット・デメリット > 奨学金を返さない場合の措置

大学や専門学校を卒業したら、奨学金の返済を本格的に始めなければいけません。経済的事情によっては返済が難しいケースもあるようですが、もし奨学金を返さなかった場合、どういった措置がとられるのでしょうか。

増加している奨学金滞納者

日本学生支援機構が平成27年に発表した「平成26年度奨学金の返還者に関する特性調査結果」の結果を見ると、奨学金を利用している人、または過去に利用した人の中で、返済期間中の人数は362万4706人です。その内、1日以上の延滞者は32万8386人、3ヶ月以上の延滞者は17万3192です。延滞者の数を合計すると50万1576人となります。数字だけで見ると約13%の方が奨学金の返済を滞納しているということになります。

滞納者の数は年々増加傾向にあり、平成16年の段階では24万9000人だったということ考えると、この10年で約2倍に膨れ上がっていると言えます。

返済できない理由

同調査によると、奨学金の延滞が始まったきっかけについて、最も多かった理由は「家計の収入が減った」という理由で、69.4%です。2番目に多かった理由は「家計の支出が増えた」で、41.9%です。つまり、経済的に返済することができないという理由が最も多いということです。

その他、「入院・事故・災害」という仕方がない理由で滞納してしまうケースが23.0%、返済を忘れていたというミスが11.0%「忙しくて返済できなかった」という理由が13.9%です。この数字を見ても、圧倒的に経済的な理由が多いことが分かります。

奨学金を返済しないとどうなるのか?

奨学金は、公的機関から貸し出されるということや、学費に充てるという正当な理由があるということからネガティブなイメージよりはポジティブなイメージがありますが、「お金を借りて利息を付けて返す」という部分で考えれば借金です。返済しなければ、支払期限が過ぎた段階から延滞金が発生します。

基本的には無利息の第1種奨学金であっても、支払期限から6ヶ月過ぎれば年間2.5%の延滞金が加算されます。第2種奨学金の場合、支払期限が過ぎた段階で年間5%の延滞金が加算されます。

さらに、奨学金の貸し出し元や、委託を受けた債権回収会社から電話連絡がきます。本人にかかってくる場合もあれば、職場や連帯保証人になっている。身内のもとに電話がかかってくる場合もあります。そして、銀行やクレジットカード会社が情報元としている個人信用情報機関に奨学金返済遅延者として登録されてしまいます。これはいわゆる「ブラックリストに載る」という状態です。つまり融資を受けたり、クレジットカードを作ったりすることが困難になってしまうということです。


最悪の場合法的措置も

延滞期間が9ヶ月を過ぎた段階で法的手続きを取られます。具体的には、裁判によって訴訟を起こされ、債権者の財産を差し押さえる判決を下されます。よほど明確な理由がない限り、お金を借りて返さなかったということは事実なので、この裁判に勝つことはできません。

差し押さえられる対象は、主にお給料、そして家財道具、不動産などです。ただし、差し押さえといっても、お給料の全額を差し押さえられるというわけではありません。例えば月に20万円のお給料をもらっていたとすると、その家の差し押さえられる金額は5万円程度です。

後輩の財源が悪化

奨学金の返済をしなかった場合、迷惑がかかるのは奨学金の貸し出し元だけではありません。奨学金という存在はそもそも単純な借金ではなく、卒業した人が返済していくことによって、それを財源として後輩が再び貸与を受けることができるという「リレー方式」というシステムによって成立しています。

返済が滞った場合、この財源が悪化し、これから進学しようと考えている後輩の学生たちが貸与を受けにくくなってしまいます。

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