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【2020年4月】給付型奨学金(JASSO)の対象拡大について

 

日本学生支援機構(JASSO)の奨学金というと、貸与型(返還の必要あり)のイメージを持っている方が多いと思いますが、高等教育無償化の流れから、このイメージを覆すがごとく、2020年4月より新制度が導入されます。

つまり、返還不要の給付型奨学金の対象を拡大します。今回は、この日本学生支援機構の新制度たる給付型奨学金についてスポットを当てて解説していきます。

1. 給付型奨学金の範囲・金額がパワーアップ

JASSO 給付奨学金リーフレット

(出典:JASSOの奨学金とは

2020年より、給付型奨学金を受けられる範囲が拡大します。特に住民税非課税世帯でなくても、年収が一定の基準以下であれば、定められた区分にしたがって3分の2、3分の1の支給を受けられます。

さらに既に大学生で貸与型の奨学金を受けている場合でも、要件を満たせば給付型奨学金に変更、あるいは併用することが可能です。

このように、給付型の間口を広げる取り組みがなされています。ちなみに、令和元年度の採用実績は12,321名です※。

※参考:日本学生支援機構 令和元年度「給付奨学生」の採用状況について

2. 受給要件

以下で具体的な受給要件をみていきます。

2-1. 申込資格

申込資格

まずは申込資格です※。

(1)2020年3月に高等学校等(本科)を卒業予定の人
(2)高等学校等(本科)を卒業後2年以内の人

※参考:日本学生支援機構 【高校生等対象】申込資格・選考基準

以上のいずれかに該当する人であれば、申し込みが可能です。簡単にいえば、現役で大学に進学しなくても、2浪までなら給付型に申し込む資格が認められます。

2-2. 選考基準

選考基準 もちろん申し込みができたからといって、必ずしも採用されるわけではありません。選考は、学力基準と家計基準の両方を満たすかどうかで行われます。

(1)学力基準

1.高等学校等における全履修科目の評定平均値が、5段階評価で3.5以上であること
2.将来、社会で自立、及び活躍する目標をもって、進学しようとする大学等における学修意欲を有すること

以上のいずれかに該当する必要があります。

これを見て、返す必要がない奨学金なのに、それほど厳格な要件でないことに気づきます。オール4に半分3があっても、学力基準を満たすことになります。つまり、極めて優秀な生徒でなくても、普通に授業に取り組む生徒であれば学力基準を満たせます。

■成績が悪くてもレポートで救われる可能性

学力基準 仮に評定平均を満たしていなくても、多くの場合、2番目の基準でクリアできます。将来の目標を掲げて、それに向けて大学等で勉学に熱心に励むことをアピールすれば良いわけです。

この学修意欲を判断するために、学校での面談や学修計画・レポートの提出が求められます。これを面倒だと感じてしまう人は大勢います。

ただ、評定平均で基準を満たせない場合には、こちらでアピールする他ありません。面倒でもちゃんと取り組みさえすれば満たせる要件ですから、その意味ではやはりだいぶ優しい学力基準だといえます。

(2)家計基準

家計基準 家計基準については、収入基準と資産基準の両方を満たすことが必要です。そして上述の通り、一定の収入基準で支給額算定のための区分(第一区分~第三区分)が決まります。

■収入基準※

【第1区分】
あなたと生計維持者の市町村民税所得割が非課税であること(※1)。
【第2区分】
あなたと生計維持者の支給額算定基準額(※2)の合計が100円以上25,600円未満であること。
【第3区分】
あなたと生計維持者の支給額算定基準額(※2)の合計が25,600円以上51,300円未満であること。

※1 ふるさと納税、住宅ローン控除等の税額控除の適用を受けている場合、各区分に該当しない場合があります。
※2 支給額算定基準額(a)=課税標準額×6%-(調整控除額+調整額)(b)(100円未満切り捨て)

※参考:日本学生支援機構 【高校生等対象】申込資格・選考基準

■資産基準

あなたと生計維持者(2人)の資産額(※)の合計が 2,000万円未満(生計維持者が1人のときは1,250万円未満)であること。

3. 支給額

支給額 支給額は、自宅通学者と自宅外通学者で異なってきます。自宅外通学者のほうが高い水準です。これはやはり、自宅外通学者のほうが一般に学生生活費が高くつくからです。

学生生活費は、自宅通学者より自宅外通学者のほうが約53万円高くなります※。

さらに国立に通う学生よりも私立に通う学生のほうが、支給額が高くなります。これもやはり、学生生活費が国立より私立のほうが多くなるためです。

自宅外通学者(国立)の学生生活費が1,743,500円、自宅外通学者(私立)が2492,500円です。

※参考:日本学生支援機構 平成28年度学生生活調査結果

国公立の場合
私立の場合

(出典:日本学生支援機構 支給額

見て分かる通り、収入基準で判断された区分にしたがって、支給額が決定されます。第一区分が最も高い支給額です。なかでも自宅外通学者(私立)が最も高く、75,800円です。

一方で、大学通学者のなかで最も安いのは第3区分の自宅通学者(国立)で9,800円です。

このように、自宅外なのか、私立なのか国立なのかで、大きく支給額が異なってきます。ただ、やはり給付型の奨学金ですから、貸与に比べて月に10万円、15万円を超えるような金額は受け取れません。

ただし、他の記事で紹介したような国の就学支援金や奨学給付金と併用することで、より貸与の必要のない給付の範囲で経済面の足しにすることができます。


4. 申込から採用までの流れ

4-1. 高校生(翌年度大学入学予定)

申込から採用までの流れ

(1)大学入学前

高校生の場合、必要書類を当該高校から受け取る必要があります。浪人生も同様です。6月以降に申込に必要な書類の配布が開始されます。

指定の書類を学校に提出します。さらにインターネット(スカラネット)からJASSOへ申請を済ませます。学校へ書類を提出するだけでは足らないので、注意が必要です。

また、マイナンバーを提出する必要もあります。こちらは、機構へ直接送付します。

以上の手続の後、採用候補者の決定がなされます。決定が行われると、採用候補者決定通知が、高校を通じて渡されます。

(2)大学入学後

4月に大学に入学したら、上記の採用候補者決定を始めとする必要書類を、今度は大学へ提出します。引換に、機構へ進学届を提出するためにいるID、パスワードを受け取ります。

進学届を提出後、初めて給付型の奨学生として認められます。

4-2. 大学在学中

大学在学中 2019年度に高校生ではなく、既に大学生になっている人も、2020年4月からの新制度を利用可能です。

10月以降、大学から必要書類を入手します。11月に指定書類を学校へ提出、インターネットでJASSOへ申込、マイナンバーをさらに機構へ送付します。

時期が違うだけで、ここまでは高校生が大学進学へ向けて申し込む場合と同じです。以下の工程が異なります。

3月以降、これまでの学業成績や学習意欲をもとに、大学がJASSOへ推薦をします。

4月以降、進級後に採用の可否が学校を通じて報告されます。採用が決定となった場合には、案内にしたがって進学形態などを知らせるための現況届を機構へ提出します。

5. 給付型奨学金の注意点

給付型奨学金の注意点 給付型奨学金が決まったら、それでもう大学卒業まで安心、ということではありません。

そもそも給付型奨学金の趣旨は、学業優秀であったり、学修に対する強い意欲があったりする学生であるにもかかわらず、経済的事情で大学への通学が困難な人に対して助成をすることです。

そのため、学業不振など明らかに給付型奨学金の趣旨を没却するような状態になったときには、途中で給付が打ち切られる可能性があります。

具体的には、以下のような場面が規定されています※。

・留年
・当該年度の修得単位数が標準の2分の1以下
・学校長が修得単位数が著しく少ないと判断
・学校処分(除籍、退学など)を受けて、学校より給付停止の措置が決定

※参考:JASSOの奨学金とは

6. 給付型奨学金についてまとめ

給付型奨学金の注意点 今回は、貸与のイメージが強い日本学生支援機構の新制度、給付型奨学金の対象拡大について焦点を当てて解説してきました。

給付型の良いところは、文字通り、返還の必要がないことです。自宅外通学かつ私立の場合には、7万円以上の給付を毎月受けられるので、他の奨学制度と併用すれば大きな助けになりえます。

自宅でかつ国立通学だと、月に1万円程度です。それでも、給付という側面から考えれば、面倒な手続があっても受ける価値はあります。

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